きれはし日記

寄せて集めて村をつくろう。これはたくさんの人たちが自由に書くことができます。

時間がわからない話 201014[sasagawa]

 

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sasagawaが愛用している偽物の時計

自慢じゃないが、時計が読めない。

アナログ時計はパッと見時間がわからない、デジタル時計では経過時間がわからない みたいな一般的な話ももちろんだが(もちろんでない皆さんはすごい)、時間そのものにあまりなじみがなく、時間感覚が本当に全くない。

 特に逆算して生活することがとにかく苦手だ。逆算が出来ないと所要時間がわからない。所要時間がわからないとめちゃくちゃ遅刻する。数字の四則計算はできるのだが、あの円形の時計盤を連想した瞬間意味が分からなくなる。

 

というのも、僕は数字を数直線で捉えているので「数字」として処理したいのだが、時間は60進法なので単純な増減では表せない。デジタル時計を連想すると右と左は分けて考えないといけない。時間には時間と分があり、しかも秒もある。

僕はその場合毎回(無意識下で)「ああ、これは時計だから60進法で考えないといけないな」という思考経路を経ないと満足ができなくて、毎回それを無駄に経由している。

(脳にショートカットキーがない、ショートカットキーがない脳使っている人はまじで困っていると思う)

 

そうすると脳に時計盤が浮かぶ。時計盤は時間を計算するのに最適な形なのでここまでは便利な時もあるが、時計盤は当たり前だが1周を超えた分を記録しておくことができない。最悪だ。

時計は数字が多すぎるのでこの時点でかなり混乱している。

 

例えば17時45分に今から1時間45分かけて電車に乗りたいとする。この時点で自分はまあだいたい19時にはつくかな?と咄嗟に思う。聡明な皆さんにはわかると思うが、つかないのだ。

 

19時につかないと気づいた次の瞬間みなはどうするだろうか。

正解は時間を計算する、だが僕は次の瞬間「あー嫌だな…」と思う。1時間を超えると時計盤上で意味が分からなくなり最悪に嫌な気持ちになる。というか想定時間より時間がかかるのは嫌なのだ。その想定時間に全くの根拠がなくとも。

 

僕は1時間を超える予定については時計盤とは別にタイムスケールバーを脳内で展開して、1時間ごとに所要時間を認識するので(1時間より大幅に超えるということはだいたい2時間ぐらいか・・・ということは20時ぐらいかな…?)とおもう。

ここで待ち合わせ相手に「20時につきまーす」と連絡する。

(ちなみに20時15分着は僕にとって20時過ぎだし、23分ぐらいは20時過ぎなのだが、28分ならその後20時45分ぐらいまでは20時半だ。しかし社会では到着連絡の時、20時15分になるなら相手には20時ではなく20時半と伝えなければいけない。)

 

その後しぶしぶ電車に乗る。しかしその電車に乗る時間は実際18時を過ぎる。

駅まではだいたい8分~15分かかり、到着して待つ時間*1があるのだが、僕はその空白の時間を認識できない。ホームに電車が到着して改札を出るまでの5分前後の時間、目的地までの10分も認識できない。トイレに寄る時間も度外視してしまう。頭にあるのは乗換案内や駅の表示で確認できる電車の到着時間だけなのだ。当然到着時間は20時半くらいになってくるのだが20時で連絡送った当人はそこにはまだ気づいていない。これにより30分前後の遅刻をする。

 

以上が「遅れます」連絡の後の30分遅刻の真相だ。

 

遅刻のメカニズムは理解している。だからどうだというのだ。ぼくは毎回新鮮な気持ちで間に合わない!?と焦り、吐きそうな気持ちで電車に乗り、20時に着きます…ごめん…と送りながら20時半に着くのだ。それは変わらない。

 

ここまで読んでいてわかると思うが、僕は丼勘定が常だ。*2

上の文章も丼勘定で書いた。17時45分に現在地を出発し、1時間45分電車に乗って実際何時に電車に乗れるのか全くわからん。本当に20時半について30分の遅刻で済むかもわからん。誰か教えてくれ。おわりだ。

 

これら思考プロセスによって脳裡で時計盤が無限発生し、結果として意味のないバラバラの文字盤が脳内でプカプカ浮かび、邪魔な文字盤を避けながら思考をする必要があり、抵抗むなしくタイタニックは思考の海で座礁する。一日に2つの予定を済ます、なんてあきらめてしまいがちだ。

ぼくは再度一時間区切りのスケールバーを脳内に引っ張り出す。時計盤は思い出さないほうがいい。どうせ1時間45分を2時間と見積もったときの15分は結局空費してしまうだろう。

 

ちなみに待ち合わせ場所に付くまでの間、現実世界の時計はなにも確認していない。実際は30秒おきにスマホの時計を確認しているが、なにもわかっていない。

そんな自分でも、アナログ時計はにらみつけていると拡張現実みたいに経過時間を5分間隔で直感的に認識して計算できるので便利と感じる。つまり、時計について、針は要らないので12分割されている丸い板がほしい。いやまぁ、針がついているに越したことはないか。

 

[sasagawa]

*1:発車時刻を確認しない風習は主に電車通学していた高校時代、東京メトロは2.3分おきに電車が来るので時計を見たことなかったが、大学で郊外に引越しそのまま就職して朝でもそこそこ本数の少ない路線を使うようになってようやく「乗らなきゃいけない時間」が存在してることがわかった。高校は毎日遅刻していた。

*2:僕は異様に数字にこだわってしまい、頭がおかしくなってしまうので何事も意図的に丼勘定をしているのだが、そのうちに自分の中で丼勘定が正義となってしまい、細かく計算することに異様にプレッシャーを感じるようになり、次第に考えようとするとめちゃくちゃになるようになってしまった。

買ってよかったものリスト 190328 [おいこ]

年度も終わるので買ってよかったものリストを公開してQOLを高めていこうと思います。

 

・花

いきなり概念を挙げてしまった。

花、あると空虚な部屋にいきなり息吹が生まれていいです。

ただフラワーベースを事情があり手放しまくったのでペットボトルに適当に活けています。ペットボトルは便利。枯れた花はそれはそれで愛しいので綺麗なドライフラワーとか適当に飾っても「人の住処」という感じがしますね。基本的に家に別の命があることはあまりないので自分以外の呼吸があると安心します。

 

ちふれ リップスティックY 744

あーこれはいいです イエベ秋としておなじみの自分ですが、内臓が死んでいるので本来の肌の色よりかなり血色が悪いんですよね、ウインターなのでは?と言われがちですが内臓が死んでいるので髪色などをオータムに合わせていったほうが穏やかではあります。

いろいろ言いましたが、とにかく血色感がないと途端に死人に戻ってしまうので紫系統は禁忌。シックさは欲しいがローズ系をつけるとsickになってしまう、ということで赤リップばかりを利用していましたが、これは天才。

系統的にはブラウンリップなのですが、オレンジみもあり顔色がパッと明るくなります。天才。これなしにはいられない。

良すぎて3本買いましたが、ADHD的所業によって手元に常に一本あればいいかどうかになっています。たまに同じコートから二本、鞄から一本で一堂に会することもあります。なんで?

(アマゾンに情報なし)

 

MAC リップ スティック #LADY DANGER

オレンジ寄りのレッドです。試した赤リップ数あれど、発色と色味の美しさで勝つのはこれが一番。一瞬でパーティーになります。

赤リップって化粧し始めのJKみたいになってしまい、なじまないとマジで芋*芋として名を馳せてしまうんですけど、似合う赤リップを塗った日の無敵感は半端ではないです。これはそんな魔法をかけてくれる一品。

ただマジで発色が半端じゃなく美しい色味なので塗るときは筆か指かなんかポンポンなじませるぐらいのほうが日常使いとしては使いやすいと思います。

 

MAC美味しいし良いにおい(これはバニラ)するので大好きなんですが、あまりに繊細な我が身、即刻唇べろんべろんになりがちなのでリップ下地をつけてください。

質感はマットですがゴールドラメが入ったグロスと合わせると神だし完全にパーティー。基本的には家でキラつかせるには惜しい輝きです。

 

 ・サナ エクセル シャイニーシャドウ N SI05

何度でも言いますが人生顔色の良さが命なので、顔色の良さはそのまま愛嬌につながります そうなの?

私はセザンヌの某顔メタリック化ハイライトを手に入れ損ねたんですが、まあだいたいおんなじ使い方をしています。コントゥアリングハイライト用です。

舞台メイクを一応担当していたのでハイライトやシェーディングには気を遣うのですが、まあ日常だと怠いのでハイライトをキュウっと入れるために使っています。

アイシャドウとしてはナチュラルすぎますが、ハイライトとしては優秀です。ラメも粒子小さめで粉落ちも少ないので重宝しています。ただブラシ塗りはあんまりうまくいかないので指ぬり→ブラシぼかしで適当に顔に立体感を持たせています。

白いハイライトを使うと顔色が悪くなってしまうのでピンク寄りのハイライトを使うことでパ!という顔を表現しています。 

(アマゾンに情報なし)

疲れてきたので擬音が増えてきました

まだまだいきます

・サナ エクセル シャイニーパウダー N SN02(ゴールドベージュ)

さっきのを塗った後にこれをほほの広い範囲に入れます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!111111111111111(大声)

いいですね、これを広い範囲にスッ…とするとパーティー感がすごくて一気にきれいになります。顔面がパーティー、一瞬で世界で一番かわいくなりました。

エクセルのいいところは主張しすぎないところなんですよね。これもラメが大きくて大丈夫か⁉とつけた直後は思うんですけど、色の肌なじみが良すぎて大丈夫になります。メイクがやりすぎになりがちな人にも、無難になりすぎな人にもオススメです。つけると、「良(よ)」しか言えなくなります。良。

フェイスパウダーとありますが分類としてはハイライトです。公式サイトにはいろんな使い方が動画と共に紹介されていますが、まあだいたいほっぺたの三角にスッするのがおすすめです。ブラシのカットが使いやすい。

 

 

 

チャコット for professionals 

多くの言葉は要らないんだが‥‥‥‥‥

チャコット。舞台メイク系のブランドなので新宿オカダヤの舞台メイクフロアが一番安く買えます。オカダヤが20%オフの時に買ってくれ。 

このエンリッチングパウダーが優秀で、主に夏の暑い時期に崩れ防止として使っているんですが、とにかく崩れない。

パフが気持ちよくて、バフバフはたいた後に手持ちのブラシをくるくるしてなじませてます。

おかげで汗めっちゃかくタイプでしかも自転車に頻繁に乗るのですが顔だけ優雅です。舞台は冬でもライトでクソアツなのでそれ用と考えると納得。

終わりの乾燥肌なので夏でも容赦なく肌が死ぬんですが、保湿もしてくれるタイプなのでベビーパウダー叩いて笑ジワに悩まされてる皆さん、マジでおすすめです。質感はマット。

同じくチャコットの下地。

こちら、ハイビジョン対応です。強いね~

ハイビジョンに映るかは置いといて、とにかく肌をフラットにしてくれる下地です。色むらも凹凸も。日焼け止め効果もあり。めんどくさいときはこれと上記のパウダーササーで一日余裕。テクスチャはモッタリ目だけどよく伸びるので出しすぎ注意です。これとパウダーファンデだとメイクはしっかり目になります。

何より、人間の目はハイビジョンより高精細だから…

 下地、化粧の質感や肌のコンディションにあわせていろんな色試してはいるのですが、これは通年。気に入りすぎて何本も使い続けています。

 

アルビオン スマートスキン ホワイトレア #01

あれ?肌か?

塗った感なく、完全に肌がきれいになっただけです。

塗った?今ぬったか?それともおれの肌がきれいなのか???となるのである意味コスパ最悪かもしれないです。

しかもめっちゃ伸びます。すご~(あまりにナチュラルすぎて肌の色に合ったやつだとわからなさすぎて心配になり、カウンターで一回肌の色と違うやつ塗ってもらいました)

めっちゃナチュラルに肌を整えてくれるし、赤みやくすみはきっちりカバーしてくれます。02と悩んで01をつかっていますが、全然暗くなく綺麗な顔色になります。

 

そしてなによりめちゃくちゃ良い匂いもする。いい匂いするね~と言われましたが完全にこれのおかげです。

(無香料の洗剤と柔軟剤を使ってる人種の人間ですが、キツイ匂いというわけでもなく、癖のない香りがふわっと香るぐらいなので安心してください。)

 

肌も、もちっ!ぷにっ!つや!!の三拍子揃って赤子になります。赤子か?吸い付くような柔らかい肌になって、毛穴落ちも乾燥も気になりません。

とにかく乾燥がヤバくてキレてる話ばかりしていますが、今までリキッドファンデばかり使っていたものの、毎朝手が終わりになるのが面倒なうえに肌はさらさらにならず髪が張り付くからフェイスパウダーが手間だし、リキッドはリキッドで乾燥するので最近は保湿下地+パウダーファンデで限界勝負をしていたのですがテスターをもらってこれに落ち着きました。最高。

下地レスと書いてありますが朝は普通に下地した後に塗ったほうがモチがいいです。当然か…

 

春夏向けのものなのでツヤ系ではあるのですが、半練りファンデなのでちょっとさらっとした独特の質感です。質感自体はマットが好きなので他のリキッドの時はめっちゃフェイスパウダーしてましたが、上にフェイスパウダーかけてもかけなくても特に気になりません。らくちんだな~

とにかく乾燥ヨレしなくて、それだけでもう100000点満点です。

 あとこのキットについてくるよくわからないおんなじ半練りのハイライトも小鼻などポイントのくすみ消しとして重宝しているので限定セットがおすすめです。値段変わらんし。

 

 

疲れてきました。 最後は最近買った

レブロン ネイルエナメル 585 ボヘミアン

甲虫のメタリックな色合いで、最高!!!!!!!!!!!!1

これのユニコーンカラー(デイドリーム)がネットで話題になってましたか?忘れた

イエベに青ネイルは無理かとあきらめていたのですが、これは緑のラメが入っていてとにかく肌なじみがいい!あととにかく大人っぽくきれいな色です。ラメが小さくてメタリックでも上品です。アマゾンの商品写真はすごい緑ですが、実物は濃紺に近いです。

単色塗りでも飽きが来ず目に入るとニコニコ。ムラや気泡が少なく、不器用にも安心です。速乾ですが剥げやすいのでトップコートはきっちり塗ったほうが安心。

爪に夜の空気を詰め込んだみたいでワクワクします。 

レブロン ネイル エナメル 585

レブロン ネイル エナメル 585

 

 

古今東西津々浦々の物品を紹介したかったのですが普通にメイクので終わりました。

アイシャドーやアイライナーはめちゃくちゃ試すタイプなのでたくさんありますが、書くのが面倒なのでベースメイクを主に書きました。いいのあったら教えてください。

当方、かなり派手な顔ですので素直に派手なメイクで生きてきましたがこれからはそうでもない場面も増えてきそうですので、ナチュラルでもかわいいメイク、またケバくならない境界線を探っていき、精進しつつ紹介していきたいと思います。廃版だったらすみません。

いいのあったらガンガン教えてください。

 

完。

 

ぼくとヤンキー 181018 [ぽんすけ]

生まれてこの方信号無視以外の悪いことはしたことがない。

成人して数年経って尚、タバコも吸わなければ酒を飲んで暴れたこともなく(吐いたことは一度ある)、喧嘩すらまともにしたことがない。当然人を殴ったこともない。夜は基本的に8時には帰宅するし、終電を逃したことすらない。夜更かしは深夜アニメぐらいだ。

小中高、そして大学と真面目に「普通」に過ごしてきた。

特に親が厳しいとかいうこともなく、どちらかというとかなり放任主義だったが普通に勉強し、普通に進学し、のんべんだらりとやってきた。

喧嘩や万引き学級崩壊はマンガの中の話で、なんなら未だにバイクなんてヤンキーの乗り物なのでは?という偏見がぬぐえない。

まぁとにかく、そもそも枷がないので堕落こそすれ、反抗する理由など無かったのだ。

 

そんな真面目でオタクなぼくと、ヤンキーとの接点はまるでない。そして歳を経るほど希薄になっていく。ヤンキーの人達と関わりがあったのは公立中学校ぐらいまでだろう。

 

そう、ぼくがその女の子と仲が良かったのは、中学一年生の頃だ。

 

Sちゃんはとにかく可愛かった。

辺鄙な片田舎の中学一年生とは思えないぐらい顔立ちが整っていて、垢抜けていて、そして確かなヤンキー感があった。

Sちゃんは明るいギャルで、ぼくは陽気なメガネのオタクだった。

冴えないメガネ越しにみたSちゃんは、ひどく大人びていた。

牧歌的な雰囲気の中学校に通っていたが、一部は「ヤンキー」と呼ばれる人たちがおり、登校してきてはワックスで固めた髪を水道水と雑巾で無理矢理洗われていたり、染めた髪を染め直させられたりしていた。

それでも少数派で、またみんな小学校の頃から知っており怖いような人たちではなかった。ちょっと背伸びしたくて、とにかく陽気、というイメージだった。

 

そんなSちゃんとぼくはよく、夜にメールをしていた。

今みたくLINEのようなチャット形式ではなく、一通一通、ガラケーをカチカチ打ち込んで動く絵文字やらデコメやら総動員した賑々しいメールのやり取りだった。

なんの話をしていたか、今となってはなにも思い出せないが、ぼくはとにかく、可愛い女の子と夜にメールを交わしている という状況がかなり嬉しくて張り切ってメールを送っていたと思う。

Sちゃんはかなりマメに即レスしてくるタイプだったが、面倒になってくると「あはは(笑)」とだけ返してきた。

ぼくはそれを見て、「めっちゃ笑うじゃん」って返していた。鈍感だった。ぼくはバカだった。

 

Sちゃんは上級生に目をつけられていた。

詳しいことは知らないが、いかにもなヤンキーが窓の外から彼女の名前を呼びながら怒声を投げていたり、何度も呼び出したり、一年生のフロアにわざわざSちゃんの悪口を彫ったり、なんだか騒がしかった。

Sちゃんは派手で目立つ女の子だったから、先生たちはあんまり動かず、Sちゃんも気にしているのかしていないのか普段通り堂々としていた。それをみたぼくは、すごく大人だな……と感心していた。感心していたので何食わぬ顔で落書きを消したりいつも通り話したりして、ぼくもぼくなりに、"大人"であろうとした。

 

Sちゃんが学校に来ない日が続いた。

ぼくはいつも通りメールをやり取りしたあと、最後に なにかあったら相談してね。と送った。

Sちゃんから「あはは(笑)」とだけ返って来た。

Sちゃんはしばらくしてまた学校に来はじめたが、それからはもう、話すこともなくなった。

Sちゃんからしたらなにも知らないオタクに、といった気持ちだったかもしれないし、ぼくも実際よくわかってなくて軽い気持ちで送ったんだけど、Sちゃんの回答は「必要ない」だったみたいだ。

 

いつだったか忘れたけど、Sちゃんは後ろの席からぼくの背中をコツコツと叩き、こっそりカバンの中のタバコを見せてくれた。「めっちゃワルじゃん」とぼくが言うと、ニコニコしながらシー!といいつつ鼻に人差し指を押し当てていた。あまりの可愛さにめまいがした。

 

遠足の集合写真、ぼくのとなりでピースサインをするSちゃんは今見てもたしかに可愛くて、ぼくはにこやかに笑う冴えない中学生だ。

 

看病 181003 [佐野]

彼女の皮膚が紫色になって、全身が肥大化した。

元の皮膚があったところよりかなり膨張し、下から青色の新しい皮膚が見えている。

口からずっと山吹色や明るい黄色のヨダレをぼたぼたと吐いていて、かなり苦しそうだ。あとからあとからせり上がってくるのか、ごぽごぽと音がする。

そのせいで顎のあった辺りでヨダレが固まり、オレンジ色の塊になってしまった。

乳は裂け、生地を入れすぎたカップケーキみたく漏れだしている。勢いよく飛び出した青色の生地は、すぐに弛くまとまって紫と青のまだらになった。海底に流れ出した溶岩を思い出す。枕状溶岩みたいだ。僕は溶岩も生き物なんだと合点する。

 

昨日まで薄く血の赤色が透ける艶やかな肌をしていた彼女とはほど遠く、鮮やかな見た目になった彼女。顔もよくわからないほど肥大化した彼女。小さな足も手もすべて埋まってしまった彼女。ぐるぐると混ざり合う高い彩度で彩られた皮膚が美しい。

僕は我慢できずに出来たばかりの彼女の青色の皮膚にそっと指を伸ばし、触れる。

暖かく、柔く包み込まれる。普段の彼女の皮膚を思い出す。あのハリがあり、すべすべしていた感覚は最早無い。弛みきった皮膚の柔らかさと重さに加え、ひどく熱い体温が心地よい。どこまでも包み込む彼女の肉体に身を預け、僕は埋まってみる。甘く良い匂いがする。

しばらく彼女の肌に触れ、挟み込まれた手をゆっくりとくねらせながら感触を味わっていたが、そのうち彼女が低く唸り声を上げて荒い呼吸をし始めた。無理もない。ひどい熱があるのだ。

先程脇のあった辺りに差した体温計は47℃を示してすぐに枯れてしまった。やはりケチらずに水仙の茎にしておけばもう何度かは持っただろうか。兄に買い出しを頼んだ。

現れた兄は未だにシャツとズボンの違いが分かっていないようで、上半身の下にまた上半身をつけてやってきた。

下半身になった上半身で……下腕ともいうべきパーツでカエルのように跳ねて移動している。上腕で荷物をもち、下椀で跳ねる。なるほどこんなに器用に移動できるなら、上半身や下半身にこだわってる僕の方が阿呆なのかもしれんな、と思った。

 

氷枕を当てた辺りは深く暗い紫色になって固くなってしまった。こうなってしまっては額も脳もどこにあるかはいまいちわからないが、額のあたりに一応当てておく。

彼女のするするとした髪をとかしてまとめる。クシを通す度にさらさらと抜けてしまうのでまとめて縄をなう。とりあえず彼女の上に置いておいた。疎らになってしまった髪を撫でる。

彼女がこうなってしまって、なんとはなしの義務感で看病をしているが、この調子だとこのまま死んでしまうのではないか、という不安が頭をもたげる。彼女の死体を弔うのはきっとぼくだろう。すぐに葬式をしたり手続きをするのはかなり面倒だ。そもそもこんな肉体は棺桶にはいるのだろうか。棺桶から溢れだし焼かれる彼女を想像する。ベーキングパウダーがたくさん入っているから膨らみすぎて溢れてしまうだろう。

大きく膨らんだ皮膚が破れ、どろどろと溶けだした彼女が辺りを覆い、火葬場の火で焼かれていく。表面は茶色く焼け焦げ、サクサクとした食感になる彼女を想像する。

両手で溶けた彼女を掬い、顔をうずめる。柔らかでもちもちとした温かい感触に包まれる。

 

考えていたら彼女が焼ける甘い匂いが漂ってきた。美味しそうな香りでつい腹が減る。

窓際の彼女に触れる…

 

  

目が覚めた。ひどい夢だ。時刻は午前6時32分。彼女に電話する。

3コールで彼女が出る。先に起きていたようだ。最近はモーニングコールを頼まれた僕の方が後に起きているようだ。面目無い。

電話口の向こうで彼女が笑う。つられてぼくも笑った。

彼女が軽く咳き込む。

ゴポリ と音がして、受話器から鮮やかな黄色い粘液が溢れてきた。手を洗った方が良さそうだ。

良い部屋 180823 [Tennex]

いとこと遊んだ。

いとこは今年中学一年生の活発な少女だ。

私は今年22なのでいとことは10近く違うことになる。

 

いとこは小学生の頃から水泳をしたりバスケットボールをしたりとよく体を動かしていて、中学では陸上部に入部したらしい。

自分はというと、大学までずっと文化系の部活に入りっぱなし。体育の時間は好きだったけれども活躍できることはなく、特定の競技に思い入れが発生することもなかった。

皆に当たり前のように好きなスポーツは?と問われても、中原中也に詰められる太宰よろしく「サ・ン・ポ……」と苦しく答えるだけだ。

 

以前会ったときより幾ばくか髪の伸びた彼女の部屋に通され、入り口の反対に置かれたタンスに目をやる。その上にいくつかのくたびれたぬいぐるみをみて、詳しくはないが、すみっこぐらしの緑色のやつが好きなのだな、等と考えた。

年相応に飾り気がなく、また、かわいらしい部屋だ。

 学習机があり、ベッドがある。ベッドの上には褪せたぬいぐるみが並んでおり、柔らかくなった枕がおいてある。焦げ茶のプラスチック枠に填まった壁掛け時計があり、可愛い犬の写真がついたカレンダーがその下に掛かっている。

 親が適当に購入してくる物品のこだわりのなさと、芽生えはじめた個性とがせめぎ合う空間。

実家暮らしの部屋というのはこういうものでなくてはな、とおもう。

 

私が実家にいた頃はあらゆることにやる気がなく、廊下に寝袋を引いて寝ていた。いろんな事情があったが、いちばんの理由は布団の上げ下ろしが面倒だったからだ。

一人暮らしのアパートではベッドを購入した。狭いアパートの一室で、さらに狭いそのスペースから特に出ることもなく休日を終えることもそう珍しくはない。

 

アパートには装飾品と呼べるものは特になく、キッチンからはみ出した電子レンジと炊飯器、それから本棚だけがある。(タンスが嫌いなので、服を入れるタンスはクローゼットに押し込まれている。収納スペースに収納用家具をしまうのはあまり賢いとは言い難い。)

実家暮らしのときは執拗に貼っていた壁のポスターも、引っ越してからはとくに取り出さず天袋に納まっている。カレンダーや時計も置いていない。

しかし入りきらない本や漫画がタンスの中や床にうず高く積まれ、空間を侵食している。お世辞にも片付いているとは言えない。部屋というよりは巣や倉庫、と称されるような有り様だ。ここには最低限の生活しかない。

テーブルはあるが椅子やクッションはないので客を呼んでも寛いでもらうスペースがない。この前は漫画喫茶と呼ばれた。実際その程度のスペースしかない。

食事はキッチンで作り、そのままキッチンで立って食べ、洗って戻すようにしている。(これに関しては我ながら良い思い付きだ。配膳の手間が省けるし、温かいまま食べれるという利点がある。)

 

一度来た父親からは、「なぜこんなに自由なスペースがあるのにダメな方向に自由にするのか」と言われた。

 

その通りだ。この場所には、無だけがたくさんある。

 

とはいえどうぶつの森にしろスカイリムにしろfalloutにしろ、「家」というものはリスポン地点で、消失の心配がない唯一の「持ちきれないものを置いておける」場所だ。

Minecraftでも手荷物を持ったまま死ぬと持っていたものを失うから大切なものは箱にしまうだろう。)

私もその感覚で持ち運ぶには重いもの、多いもの、持ち歩く必要のないものを「家」に置いている。

 

そう、兎角オタクは物が多い。

オタクは関心物を収集する習性があるからだ。

自分の場合は本や漫画、CDなどで、かさばるし重い。

フィギュアやグッズをレイアウトする趣味はないが、実体のある本を集める限り、スペースは足りなくなる。

それらのコレクションを問題なく置いておけるのはやはり他人に侵されづらい「家」ならではだと思う。

ここまでの認識だと倉庫で十分とは思うが、保持すべきコレクションに肉体を加えると、途端にキッチンや風呂、トイレなどあらゆる機能がついていたり、気密性が高く空調が調整しやすい「家」である方が勝手が良くなる。

上記の理由から、私は倉庫ではなくアパートを借りて住んでいる。

 

肉体がある限り「家」は必要だが、コレクションを手放したとき空間を所有する必要もなくなる。どうせベッドの上にしか居ないのならば、すべて処分してホテル暮らしのほうが快適だな、と思う。私には空間へのこだわりがない。

とりあえず私は倉庫ではなく「家」で暮らしている、と反論できるが、「部屋」で暮らしているとは言い難い。

 

 そう、「倉庫」「家」そして「部屋」この三つの概念が自分の中にはあり、呼び名はどれでもよいのだけれど、それぞれに明白な違いがある。

(辞書通りの言葉ではなく、自分の中のイメージであることを先に述べておく。)

これら三つに共通していることは、基本的に許可なく他人に侵されない空間であることである。

しかし倉庫と違って「家」には空間のほかに生命の維持、つまり「生活」ができることが求められる。主に安心して快適に眠れる等、盗難の心配なく物を置いておけるだけでなく肉体の健康を保つための行動がとれる場所であると考えている。

更に「部屋」となると、その空間に目的や性質が付与されていること、つまり住人がどういう人かがわかることが必要になると私は考える。

 

すなわち「部屋」に至るには前述した、「実家暮らしの部屋に芽生える個性」が、他人の干渉を離れ結晶化することを条件として考えているのだ。誰と暮らしていても当人のこだわりや好みが反映されて当人の一部となっていることが「良い部屋」ひいては「よい暮らし」なのだろうと思う。

 

いとこが一人暮らしを始めたらどんな部屋に住むのだろうか。

「部屋」として成立していることを祈るばかりである。

ラーメン屋みたいだな 180910 [缶次郎]

週末、恋人と海へ鳥を見に行った。

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久々の休みだった。楽しみにしていたので結構しっかり下調べをして向かった。

鳥がよく来る時刻、潮の満ち引き、学名、鳥がそこに来る理由、近くの電車、歩行ルート、食事etc.etc.……

わりとこういうのを調べるのは好きなので、ざっくりノートにまとめた。

 

とはいえ、字を書くのが億劫であまりノートに書き込むことは好きではない。

そもそも長々とした文を手書きするとただ写すだけになってしまいあまり頭に入らない気がする。

だからこういうメモは要約して思い出すための手掛かりだけ記入しておく方が良い。たくさん書くと目が滑るし。スピーチ原稿もキーワードだけ書いておく方が口が回るし……

等と。

自らの横着を正当化するのは得意だ。

 

なのでノートにはこんがらがりやすい単純な数字、営業時間や電車のホーム等、覚えづらいことだけ記入した。

 

こういう計画をたてるとき、予算や所要時間はかなり余裕をもってつくってしまう。

どうせ恋人も自分も時間に頓着がないのでそれでもぐだぐだになるだろう。

リカバリーするための前後の電車の時間も記入する。予定をすっ飛ばしたときのルートもだいたい考えておく。

実行しない"捨て予定"をたくさん考えておくと便利だ。

 

捨て予定にしろ、複数の時間設定にしろ、はじめから選択肢を増やしておくと気が楽だ。時間を気にしないくせに、時間に追われるのはかなり苦手だからだ。

ともあれ先のことを考えると嫌になるので、基本的に予定は立てたくない。

 

当日は結局恋人は朝寝坊したので午前はのんびりして夕方の渡来に期待した。かくいう自分もあまり起床には自信がなかったので、事前に野鳥観測団体が朝夕定時観察している時間を両方確認していた。その時間に合わせる。

 

海岸へ向かう。

いろいろと調べているときに近くに練り物屋があることを知った。

HPや他サイトの記事を熟読すると、原料や製法にかなりこだわっているらしい。

どうしても行きたかったので恋人に最優先で向かうことを提案した。以前、後回しにしている間に楽しみにしていた和菓子が売り切れたことが脳裡をよぎったからだ。

 

からしばらく坂を下るとGoogleマップのアナウンスが目的地付近であることを教えてくれた。

次にいつ行くかもわからない場所だったのでとりあえず全種類買おうと一人意気込み、思ったより厳かな店構えにしり込み、期待に緊張が混じる。

 

意を決し入店するといらっしゃいませと言うが早いか、フランクながらも丁寧な(しかしかなり早口の)おばちゃんが

「ごめんなさい~!今日さつま揚げは切らしてて~!あっでも近くの××で17時から売ってますのでね~!」

と一息に教えてくれる。

そうなんですか と返す。

首から下げた大きなカメラをみて観光客と判断されたのか、そもそも観光客ばかりなのか、おばちゃんは続ける。

「これ!今日売り切れなので100円券!うちでしか使えないけど!また○○に遊びに来てくださいね!」

おばちゃんはニコニコとしている。券を受け取る。

言葉を聞きながら、なるほどその台詞はちょっと粋だな、とおもった。

この券を使う日は来ないとしても。

 

包みを受け取り店を出た。

おばちゃんに手渡されたクーポン券を見つめる。

でかでかと「百円券」と3文字が縦書きされた名刺大の紙切れ。

 

一拍置いた後、恋人と口を揃え「なんか……ラーメン屋みたいだな」とつぶやいた。

 

キンモクセイとインターネット 180927 [safpoc]

キンモクセイの花の盛りが来た。

大学の近くには結構な距離、キンモクセイが咲き乱れる桜並木ならぬキンモクセイ並木がある。

東京にいたときは町のスケールに合わせられた植物ばかりだったので考えたことも無かったが、その並木を通ると、キンモクセイは存外背が高く、大きく育つこと、地面を埋め尽くすうつくしい香りの花は金というより、記憶よりもずっと鮮やかなオレンジであることを知ったりする。

もちろんこの道を通るのは四年目で、秋雨で濡れたキンモクセイの芳香が辺り一面にたちこめるのも四回目なんだけど、都度新鮮に嬉しくなるので毎朝毎晩深呼吸して通っている。

 

そしてわたしはまた、毎年この季節が来る度、まだ見ぬ「モクセイ」の花について思いを馳せていた。

つまり、キンモクセイというのは「モクセイ」というプレーンな、"素体"があり、そして赤モクセイやら青モクセイやら何らかのフレーバーがあり、そのうちの"金モクセイ"なんだろうと、深く考えずに、特に調べずにそう思っていた。

 

ところが今朝思ったのだ。

こんなに全国的に有名で、また並木を作るほど広く愛される花の素体であろう"モクセイ"をなぜ見たことも聞いたこともないのだろう?と。

 

エウレカ

ひょっとしてそもそも「モクセイ」なんて花はないんじゃないのか?

キンモクセイは亜種や本流などなく、そのまま単一品種で、名前は様子をそのまま表しているだけなのでは?うまく言えないなぁ

(そして例も思い付かない!思い出したら追記しようとおもう。)

いやでもだってだってそもそもキンモクセイは漢字で書くと金木犀、それを読み下すときっと意味になっていて、たぶんこんなふうに…「木に金のような色の花が犀のようにたくさん……(サイ……?)たくさん……ついてる様子を……(今サイって言った?)」

え、なんでサイ?哺乳類の?ツノがある?

犀の部分には幾星霜的な意味の言葉がついていると思ったのに……

 

完全に天才的な思いつきだとおもった仮説は突如現れた哺乳動物によってめちゃくちゃにされてしまった。

 

辞書を引いて犀にほかの意味を見出だそうとしたがするどい、ぐらいの意味しかなく(ツノからか?)大人しくGoogle検索をかけたほうが良いことがわかった。

 

そう、わたしはインターネットネイティブ世代。箸の持ち方から恋人の家までだいたい検索して知識を得てきた人間。

早速「金木犀 サイ なぜ」で検索した。

 

余談だが思考とインターネット検索が完全に結び付いているせいで最近先輩に実験手法を「○○(単語) なぜ…」と検索窓方式で聞いてしまい「ちゃんと喋ろうね」と返された。

 

話を戻そう。上記のように検索したところでどうせ知恵袋の適当な知識が返ってくるだろうと思っていたが、思いの外詳細に解答してくれているブログが見つかった。

やはりみんなキンモクセイがサイの字を冠している理由が気になって仕方ないのだろう。

気持ちわかるよ。

 

そして検索したところ、「げたにれの “日日是言語学”」さんというブログの「「金木犀」 には、なぜ “サイ” が入っているのか?」というエントリに辿り着いた。正に知りたかったことがドンピシャである。神じゃん。記事は下記URL。

https://gamp.ameblo.jp/nirenoya/entry-10147914673.html

ところで記事は2008年のこの時期に書かれたものである。10年も前の記事を一瞬で引き出せるのはすごく便利なことだと実感する。10年前、わたしはだいたい小学校高学年だったのでもう数ヵ月するとアメーバブログでブログを書き始める。PVも読者数も今となっては覚えていないが自分の書いた日記もあっさり引っ張れることを思うとすごく辛い気持ちになる。早くからインターネットに触れたオタクは思い出したくないことが大量にインターネットに残ることになる。

 

話が完全に逸れたが、記事によると

・モクセイという属がある

・ギンモクセイもウスギモクセイもある

・漢字や言葉自体は中国から入ってきた言葉

……いやあってるんかい

ともあれこの記事からわたしの仮説は昨晩以前のものが正しいようだった。

その後調べるとモクセイというと通常ギンモクセイを指すこと、モクセイという総称があり、キンモクセイはそのなかの一種であることがわかった。

 

また記事にはこれらのバリエーションを中国語でなんというかも書いてあった。以下引用。

"

中国語ではどう言うのかというと、

金木犀 キンモクセイ 】→ 丹桂 dānguì [ タンクイ ]

【 銀木犀 ギンモクセイ 】→ 銀桂 yínguì [ インクイ ]

【 薄黄木犀 ウスギモクセイ 】→ 金桂 jīnguì [ チンクイ ]

"

なるほど、日本語では馴染みがなかった他のバリエーションも中国語で書かれると聞いたことあるものばかりだ。お茶に含まれるものだとわかる。

しかし桂、と書かれるとニッキ、シナモン、を想像してしまう。ざっくりいうと昔は同音異義語だったらしい。

 

肝心のサイについてだが、記事の最後に

「どうやら樹表がサイの肌に似ているためこの名前がついたようです。近所のキンモクセイの肌に触れて納得してみてください」

と締めくくられていた。理由を知るために中国や台湾の文献を当たっていたりすごく良い記事だった。あとはとても手の込んだ嘘記事でないことを祈るだけだ。

 

こうしてインターネットによって世界の見方がまたひとつ増えた。明日の朝は深呼吸のついでにキンモクセイの樹表に触れてみて、金木犀の"犀"を感じてみようとおもう。

未だサイに触れたことは無いのだが。